

2025.10.24
2025年のノーベル生理学・医学賞は、「制御性T細胞による免疫の過剰な働きを抑える仕組みの発見」に対して、大阪大学の坂口志文博士、米国のバイオ企業ソノマ・バイオセラピューティクス社のフレッド・ラムズデル博士、米国システム生物学研究所のメアリー・E・ブランコウ博士の3人に贈られた。
この受賞は、外周免疫寛容の分野における画期的な発見を讃えるものであり、免疫システムがどのようにして自己組織を攻撃しないよう制御しているのかという根本的な疑問に対し、重要な手がかりを与えました。
私たちの免疫システムは日々、数千種類もの病原体から体を守っていますが、時に誤って自分自身の組織を攻撃し、自己免疫疾患を引き起こすことがあります。 ブルンコウ氏、ラムズデル氏、坂口氏の研究により、免疫システムの「守護者」ともいえる制御性T細胞(Tregs)が発見されました。これらの細胞は、免疫細胞が自分の臓器を攻撃するのを防ぐ重要な役割を担っています。
免疫寛容は胸腺内で有害な免疫細胞が排除される「中央寛容」のみで成立すると考えられていました。しかし坂口氏は、末梢免疫系にも自己免疫疾患から身体を守る新たな免疫細胞が存在することを発見しました。この発見は従来の定説を覆し、末梢免疫寛容の礎を築きました。
自己免疫疾患を発症しやすい特定のマウス系統の研究により、Foxp3遺伝子の変異が原因であることを突き止めました。
さらに、人でも同様の遺伝子変異が重度の自己免疫疾患IPEXを引き起こすことを証明し、免疫寛容におけるFoxp3遺伝子の中心的な役割を明らかにしました。
坂口志文氏は上記二つの発見を関連付け、1995年に自身が発見した細胞の発達がFoxp3遺伝子によって制御されていることを証明しました。この細胞、すなわち制御性T細胞(Tregs)は、他の免疫細胞を監視し、免疫システムが自己を攻撃しないよう保証しています。
これらの画期的な発見は末梢免疫寛容分野の研究を飛躍的に発展させ、がんや自己免疫疾患を対象とした新たな治療法の開発を促進しました。これらの研究成果は、がん治療の予後改善や臓器移植の成功率向上にもつながる可能性があり、現在も多くの臨床試験が進行中です。
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引用:https://www.nobelprize.org/prizes/medicine/2025/press-release/